生成AI,英語力を底上げする上手な使い方

英語に自信を持てないあなたへ

こんにちは。会議通訳のあひるです。前回,英語が苦手ならまずは日本語で,自分の英語力でも表現できるレベルまでシンプルにする,このステップが何よりも大切,というお話をしました。

ただ,実際にやってみるとこれが結構難しいんです。そして最近は,英語がわからなければあれこれ悩むより,ちょっと生成AIさんに聞くとなんでも教えてくれます。しかしそれではなかなか英語力には結びつかない。今日はツールは賢く活かしつつ,英語力にしっかりつながる上手なAI活用法をご提案します。

最終回答を聞いてしまうのはもったいない!

前回の記事で例に挙げた『背に腹は代えられない』,たとえばChat GPTさんに聞けばもちろん一発です。”代表的なのは Depsparate times call for desperate measures” とのこと,ご名答。いや,本当にすごいです。

しかし,言いたいことが出てくるたびに天才Chat GPTに聞いていくとどうなるでしょう。まず,

① 自分の理解を超えていると間違いに気づけない

言葉というのは多義的なものなので,日常会話でもこちらの思っていない意図に受け取られること,ありますよね。そのように自分の意図しない意味で訳された時,自分でしっかり腹落ちしていないと,『いやそういう意味じゃないよ!』と気づけない。それは困ります。そして,

② そもそも,多分覚えられない

このようにパッと提示されたものがすんなり覚えられるようであれば,そもそも今頃英語に困っていなかったはず。何事もそうですが,無味乾燥な『学習事項』になってしまうと覚えるのってとても大変なんです。Chat GPTさんもすんなり覚えられる方には有用だと思うのですが,少なくとも英語を始めた頃の私には覚えられませんでした。

③ せっかくの学習機会を逃してしまうのがもったいない!

しかしChat GPTさんに聞いたという事は,何かしらの『これ何だろう?』という疑問の芽があったと思うのです。これは以下のカラーバス効果の記事で詳述していますが,私たちの脳は無味乾燥な学習事項を覚えるのはとても大変ですが,少しでも『あれなんだろう?』という自発的な疑問の芽があると一気に学習が加速します。だからせっかく疑問の芽がある時にさっさと正解を聞いて結局覚えられないまま)過ごしてしまうのはもったいない!文字どおり学習機会の損失です。

基礎力を底上げする上手な活用法

ではどうするか?別になにも全て自分で考えろなどと言うつもりはありません。『まずは日本語で自分の英語力でも表現できるレベルまでシンプルにする』,このステップ自体を手伝ってもらうことをオススメします。一気に正解を聞くのではなく,ご自身の思考プロセスを伴走してもらうのです。

私が初めて英語学習を始めた頃は,無意識ではあったのですが,①まず自分が普段考えている雑多なことを,
『単純なオンライン辞書/翻訳ツールでも絶対に間違いなく訳せる日本語』に言い換える
② シンプルにした日本語を英語にする
という手順を踏んでいました。この過程をそのまま生成AIにお手伝い頂きましょう。

① 日本語を極限まで単純にする

たとえば前回の記事で触れた『野菜食わんとかありえないんだよ💢』。ちょっとChat GPTさんに聞いてみました。

日本語で,野菜を食べないなんてありえないと言われました。この「ありえない」ってどのように言い換えられますか?

この場合の「ありえない」は、直訳の「存在しえない」というより,「信じられない」「理解できない」「普通では考えられない」「常識的に考えておかしい」というニュアンスです。(以下略)

・・・どうでしょう。少しずれている気がします。ご自身のニュアンスにピタリと合うまでぜひ聞いてみてください。

どちらかというと,食べないといけない,という感じだったのですが

その場合の「ありえない」は,「そんな選択は許されない/論外だ」「当然そうすべきだ」という,“義務感・常識” を含む言い方ですね。
なので言い換えると,
・野菜を食べないなんてだめだ
・野菜を食べないなんてよくない
・野菜を食べないなんて考えられない
・野菜は食べるべきだ
・野菜を食べないなんてあり得る話じゃない
・野菜を食べないなんて論外だ。(かなり強い)
ニュアンスとしては「個人の自由というより、当然やるべきこと」という圧力が入っています。(以下略)

そう,これです。これならご自身で,何とか英語にしようと思えるのではないでしょうか。

② 単純にした日本語を英語にする

ここで出てきた日本語を英語に,と言っても実はChat GPTさんは上の答えの後に『英語なら』といくつか例文を出してくれています。しかしここはぜひ一度,ご自身で考えてみてください。言いたいことがなかなか英語にならない場合,英語力より日本語をシンプルにするところでつまづいていることも多いので,難しければ①に戻ってさらに簡単な日本語を聞いてもいいかもしれません。

③ 文法ミスに限って間違いを確認

ここで You have to eat vegetable. という英文を作ったとしましょう。そうしたらまず,文法・語法上のものに限って間違いを聞いてみてください。

以下の英文に文法や語法上の間違いがあれば教えてください。
You have to eat vegetable.

はい。文法上の自然な形にすると
You have to eat vegetables.
になります。
(以下略,文法の説明が続く)

こんな感じで文法ミスを教えてくれます。vegetableは複数なのでsをつけないといけないわけですが,その理由もしっかり続いています。

ここでいきなり最善の表現を聞くと,自分の表現できる内容を大きく超えていて,結局『よくわからない英文』,つまり無味乾燥な暗記例文になってしまうことがあります。まずは文法事項に限って聞くことで,あなたが今ご自身で出せる最大限の内容が出てきます。

④ 英文を日本語訳してもらって意図を確認

生成AIでしたら一瞬で答えが返ってくるわけですから,次のステップに行く前にぜひ一度ご自身の英文を日本語訳してもらうことをお勧めします。

以下の英文を日本語に訳してください。
You have to eat vegetables.

「You have to eat vegetables.」は
・野菜を食べなければならない。
・野菜を食べないとだめだ。
・野菜はちゃんと食べるべきだ。
という意味です。(以下略)

この段階で一度,本当に言いたいニュアンスになっているか確認してみてください。前回の記事の例は子ども向けなので You have to eat vegetables.でいいでしょうが,相手が友人でも言っていいか?仕事の場でも使えるか?そんなことも考えてみるといいかもしれません。

【必要に応じて】より洗練された言い方を聞いてみる

上でご自身の言いたいニュアンスになっていることを確認したら,必要に応じてチューニングしてみてください。「より洗練された表現で」「気の合う友人に言う言い方で」「上司に話すのにふさわしい言い方で」などなど確認し,ご自身が始めに考えたものとどこが違うのか,ぜひじっくり比べてみてください。

生成IAを味方にしよう

ここまで如何でしたか?生成AIは聞けばすぐに答えを教えてくれる便利なものではありますが,その技術は充分活用しつつ,やはり私はこの『言いたいことをシンプルにする練習』を強くお勧めします。英語力向上にとても効果があるのはもちろんですが,自分の考えをシンプルにできると極めてわかりやすく話せるようになり,本質的なコミュニケーション能力が一気に上がるからです。まず日本語を主軸に表現を磨いていくべきだと考えるのはそのためです。

これは既に何度もお話していますが,英語学習のモチベーション継続には,短期集中で一気に成果をあげ,『やればできる!』と心から信じ込めることがとても大切です。その意味でも,今ある英語力で言いたいことを表現できるようになると,最小の時間・努力で最大の成果(アウトプット力)が得られるので,一気に成功体験を感じられます

これはこのような単純な言い回しだけでなく,少しまとまった文章を書く時もとても有効です。そのうち記事にします。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!