こんにちは。会議通訳のあひるです。
新年度の慌ただしさもひと段落する頃でしょうか。GW前の少し時間もできてくるこの時期,今日は少し趣向を変えて世界史の効用についてお話します。
世界史を通読したら英字新聞・ニュースが一気にわかるようになった話
プロフィールで詳しくご紹介していますが,私は元々典型的な理系で英語は大の苦手。この話はどうしても『英語が苦手だった』ことばかり注目されがちなのですが,もうひとつ大きなネックがありました。それは高校で文系科目をまともに勉強してこなかったこと。特に世界史に全く触れずにきてしまいました。
今は分からないのですが,私が高校生だった当時は理系だと物理やら化学やらさえやっていればよく,歴史科目は完全にスルーできました。それでも日本史は中学でやったので少しは知っているのですが,世界史は本当に未知の世界。しかしより本質的,というか致命的だったのは,『やっていない』ことより『嫌い』だったこと。私にとっては英語も世界史も文系科目は全て『覚えないといけない嫌なもの』だったんです。知識面の欠落は正しく努力すれば習得できるでしょうが,やほり『嫌い』は致命的。なぜなら絶対に続かないからです。
そんな私が何を血迷ったか英語などを勉強し始めたわけですが,ある程度のところまで行くとやはり行き詰まりました。英語メディアが日本語メディアのようには読めない。今振り返るとこれは完全に知識面,つまり『海外の常識』を知らなかったことが大きな原因。そこで以前詳述したように海外メディアを日本語で読むことで克服してきたのですが,同時に世界史をまとめて勉強したら色々なことが面白いくらいわかるようになったんです。そっか,英語圏の知識人向けのメディアって,こういう文脈で書かれていたのか!と。これがとても効いたので,少し詳しくお話したく思います。
比喩や引用がわかるようになった
ひとつめのビックリ!は,比喩や引用が明らかにわかるようになったこと。
たとえば日本語で本を読んでるとよく,信長や秀吉や家康に喩えるような文章が出てきます。これはもちろん,信長・秀吉・家康は日本人なら誰でも知っているだろうという前提があるから成立する比喩です。同じように世界史を学ぶと,英語メディアのこういった喩えが一気にわかるようになりました。
こういうものって大抵,主題としてではなくスパイス的に出てくるもの。つまり,たとえば『(アメリカの)共和党の成り立ち』という本でも読んでいるのであれば,背景知識がなくても共和党の成り立ちがわかるように基礎からしっかり説明されていると思います。しかし私たちが読みたいのは,ごく一般的なアメリカのメディア。そういうものでは共和党の成り立ちや背景,支持層などの知識は『あるもの』という前提で書かれています。そういう時に出てくる比喩や引用って大抵『本筋・本題ではないがわかれば理解がグンと深まる』ものです。ただでさえ慣れない英語で慣れない英語圏のメディアを読んでいるわけですから,やっぱりこういう部分は難しい。しかし逆にこのような枝葉の喩えがひとつひとつわかるようになると,一気に解像度が上がって読めるようになりました。
海外ニュースの背景がわかるようになった
ふたつめのビックリ!は,海外ニュースの背景がわかるようになったこと。
自分で英語圏のニュースに取り組んだり,通訳学校では英字新聞や時事トピックを学習したり。そういった中で,私も様々なトピックについて都度理解しようと努めてきたのですが,なんというか今ひとつ繋がらなかったんです。それが世界史を学んだことで,目に見えて理解できるようになりました。
たとえば今問題の中東情勢。恥ずかしながら昔は,今ひとつ背景がわからなかったんです。そうすると,いくら調べていてもひとつひとつの情報が点になりがち。イラクはどっち派で,イランはどっち派で,あれアメリカがついているのは・・・。そんな風に全体像が見えていないので,時々『あれ,これはイラン側だっけイラク側だっけ?』みたいなことになる。それが大きな流れで世界史を学んだことで,全体像が見えるようになります。すると中東情勢も,『あぁあれか』といった感じでスッと入ってくるようになる。これはとても嬉しい驚きでした。
近現代史や世界情勢の本が読めるようになった
そして最後のビックリ!は,近現代史や世界情勢などの本が一気に読めるようになったこと。
これはふたつめ:海外ニュースの背景がわかるようになった,というところとも繋がるのですが,たとえば世界情勢や時事トピック,地政学などでわからないことが出てきた時。深く調べてもスッキリ理解できるようになったのもとても嬉しい変化でした。
もちろん私も英語メディアを読んでいてわからなければ『ここのところがよくわからないな』ってことはわかります。なので気になるトピックがあれば都度調べたり本を読んだりしてきました。でも,なんとなくうまく入ってこなかったんです。たとえば地政学についての入門書などを手に取っても,表面的な知識を追っている感じでなんとなく全体像が見えない。そうすると色々なことが『お勉強』『覚えるべきこと』になってしまって,結局よくわからないし第一面白くない。それが世界史を学んだことで一気にわかるようになったので,なんというか本を読むのが楽しくなりました。
『世界の常識』を埋められる最強ツール
私は日本で生まれて日本で育ったので,単なる『語学』としての英語だけでなく,やはり『世界の常識』を知らないことでも苦労をしました。今思えば恥ずかしいと思う発言もたくさん。しかし,こういう『海外で恥ずかしいことを言ってしまった』と思うことの大半は『世界の常識』を知らなかったことに起因しています。そして世界史は,それを埋められる素晴らしいツール。言ってみれば,海外経験をすごく手軽に補完できると感じます。
人間誰しも自分の知っている範囲でしか物事は見えないものです。だからこそ,世界の常識がわかると一気に解像度が上がります。そこで私に効いたもののひとつが,世界史でした。
次回,具体的な書籍などをご紹介します。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!