こんにちは。会議通訳のあひるです。
前回の記事で,世界史を学ぶことで英語圏の常識をうまく補完できる,というお話をしました。ここで問題は,何を読むか。ズバリ私のおすすめは,学習まんがです。私はこれで一気に視界が開けました。
学習まんがが進化している!
歴史の学習まんがって昔からありましたが,大きい児童書サイズで表紙の厚い,いかにも子供用!だったと思うんです。私もいつか世界史は勉強したいと思いつつ,学習まんがという選択肢は思いつきもしませんでした。それがたまたま書店でみてビックリ。すごく進化しています。
カリキュラム変更に伴う学習まんが改訂ラッシュ
最近,文部省の学習指導要領,つまり学校教育カリキュラムが変更になりました。小学校は2020年度から,中学校は2021年度から、そして高校は2022年度入学生から。つまり,2025年度入学の大学入試から歴史を含む大学入試の出題範囲が大きく変わっています。実はそれに合わせて,学習まんがも各社どんどん新しいものを出しているんです。
漫画本サイズ・ソフトカバーの大人むけ仕様
代表的なのは,小学館(2025年12月刊行),集英社(2024年10月刊行),角川(2021年1月刊行)あたりでしょうか。このラッシュで新しく出たもの,どれもいわゆる普通の漫画本サイズのソフトカバーで,大人が読むこともしっかり念頭に置かれています。ひと昔前の『いかにも子ども用』の児童書サイズのものとは全然違う!
そしてやれ(歴史教科書で有名な)山川出版社が編集協力とか(小学館),『東大式』だとか某有名塾も太鼓判だとか(角川),(人気YouTuberの)山﨑圭一さんがアドバイザーだとか(集英社)。それぞれの是非はさておき,各社とにかく力を入れていることが伝わってきます。
近現代史が充実!
そして何よりのポイントは,近現代史の充実ぶり。今回の学校教育カリキュラムの改訂で今続々新刊が出ているわけですが,新しいということはそれだけ最近までカバーされています。でもただ『新しいから』だけじゃない。新しい高校の学習カリキュラム自体,近現代史の比重がグッと高くなっているんです。
大人も視野に入れているとはいえ,学習まんがのベースは大学入試。その大学入試で近現代の比重が上がったので,最近刊行されたシリーズはどれも近現代の動向がしっかりわかるよう構成されています。それでいて科目は『時事』ではなくあくまで『世界史』ですから,過去の歴史をベースにしながらそれがどう現代のニュースにつながっているのかに焦点が当てられています。だから本当に最近の時事ニュースにしっかりつながる。このような視点で学べるもの,他にはなかなかないのではないでしょうか。
後述のとおり私は集英社版を選んだのですが,全18巻のうち実に10巻が近現代,第二次世界大戦は第15巻でした。つまり戦後だけで3巻あるということ。すごいですよね。
あひるの選んだ集英社
このように各社力を入れている状況ですから,どれも素晴らしい内容です。私も実際に書店に行って手に取りながらあれやこれや比べてみました。ここからは完全に個人の趣味だとは思うのですが,ご参考までに私は集英社を選びました。
ビリギャルでオススメされていた集英社
以前『ビリギャル』として有名になった,学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話。この中で以下のように書かれていたのが印象に残っていたんです。
“世界史なら集英社のマンガが良いのですが“
第四章さやかちゃんを導いた心理学テクニックと教育メソッド
偏差値30の子に効果的な日本史の学習法 より
ストーリーありきで読みたい
歴史はやはり細かい知識よりも全体的な物語・ストーリーがきちんとわかることが大切。そういった意味で,『どれだけ教科書に準拠しているか』や『受験に役立つか』を売りにしているものより書店で実際に手にとって面白そうだった集英社のものを選びました。
たとえば『ベルサイユのばら』,読んだことありますか?フランス革命くらいまでのパリを題材にしたまんがです。あれは受験とか教科書とかまったく関係なく描かれた完全なるフィクションですが,あれを知っていて世界史の教科書を読めばフランス革命とか一瞬で理解できると思います。
結局世界史って,既に結末が知られている壮大なドラマ。だからこそ細かい知識よりもストーリー性がちゃんとあるものに惹かれます。
漫画はやっぱり集英社
そして集英社といえばジャンプとりぼんですよね?これは多くの魅力的なストーリーを描ける漫画家を抱えていて,魅力的なまんがノウハウがあるということ。
上述のとおり,歴史は結局ストーリーで学ぶのが一番。細かい史実云々よりも圧倒的に読みやすく面白いストーリーであることはとても大切です。そういった意味で,やはりジャンプとりぼんの出版社には期待が高まるというものです。実際集英社の『世界の歴史』全18巻,そうそうたる漫画家さんが描かれています。
実際に書店で手に取ってみても,私にはやはり集英社のものがいちばん大人っぽいというか,いい意味で学習まんがっぽくない読みやすさを感じました。そして読んでみた結果は前回の記事のとおり。これは近年でもかなり満足度の高い買い物でした。
コツは知識のベースを一気につくってしまうこと
今回まんがで世界史をひととおり学んでみて強く感じたことがあります。それは,世界史に限らず新しいことを学習する時は,少しでも早く『全部なんとなくちょっと知ってる』状態を作ってしまうことが,とても有効だということ。
私もこれまで,英語圏のニュースやメディアに触れる中でわからないことがあれば都度調べてはきたんです。なんとなくわかった気になってはいたけれど,でもやはりしっくりきていなかった。今回世界史を通読することで一気に英語圏メディアの解像度が上がるという経験を通じて,やはり知らないことが多い中で細かい点の知識を掘り下げようとしても限界があるとつくづく感じました。
これは個人的な感覚なのでうまく表現することが難しいのですが,知識の定着って物理的な時間がかかる気がするんです。英語にしても世界史にしても何にしても,たとえば初めて本を読むなり学習するなりして頭に入ってから,身体に染みこんで使える知識になるまでにはやはり一定の時間がかかる。そういった意味でも,まず初めにストーリー性のある心に残るものを使って全体像を頭に入れてしまうのはとても有効です。
全体像をじわじわ身体に染みこませつつ,興味のある様々な点の情報を取り入れるたびに知識が有機的につながっていきます。中東情勢とか英仏関係とかアメリカの2大政党とか。点の情報からスタートしてもうまく知識が育たないのに比べ,ベースのある状態から始めると以降の学習に一気に活きてきます。
如何でしょう。GWでちょうど時間もできるこの時期,もしよかったらぜひ手にとってみてください。ひと昔前のいかにも子ども向けのものから大きく進化していることに驚かれると思います。一緒に頑張りましょう。Bon Voyage!