英語が苦手だった私が会議通訳になるまで #1『英語嫌い』からTOEIC900点まで

私が通訳になるまで

こんにちは。会議通訳のあひるです。

私は海外経験もなく,社会人になってから英語を勉強して会議通訳になりました。元々英語は苦手というか,嫌い。そんな私がどのようにして会議通訳になったのか,少し詳細な学習歴をお話します。プロフィールと重複するところも多々ありますが,これから学習する方に少しでも参考になれば嬉しいです。

苦手な英語に向き合うまで

私は大学まで特に海外経験もありませんでした。学生時代は理系。英語は大の苦手,というより嫌いで逃げ回っていました。

初めて『英語を勉強しなきゃ』と思ったのは,社会人になって2,3年経った頃でしょうか。当時は日系企業でシステムエンジニアをしていました。やりたかった仕事だったので楽しくはあったのですが,やはり働き方はハードな業界。心のどこかであまり長くは続かないと感じ始めていた時期です。完全に違う職種も考えるなら,やはり英語はできた方がいい。ぼんやりとそんなことを思うようになります。

とはいえなにせ嫌いですから,(ただでさえ大変な)仕事をしながら勉強などする訳もなく,結局英語など手をつけることもないまま退職します。当時は大きな組織で働くということになんだか疲れてしまっていて,とにかくゆっくりしたかった。

日々のんびりと好きなことばかりしながら過ごすうち,次第に気持ちも前向きになってきます。それまでは日々忙しく,考えるのはせいぜい数日後から数週間後くらい。しかし心に余裕ができたことで,これからどうしよう,どんな仕事しよう,と,前向きに考えられるようになります。本を読んだりふらりと旅をしたりして過ごすうち,ふと思い立って短期集中の英語コースに通います。

当時は英語に特別な興味があったというよりも,ただ何かを変えたかった。『なにか新しいことを初めてみたい』と思った時,たまたま思いついたのが英語だったんです。ただこれが,私にとっては初めて自分のお金を払って大嫌いな英語に取り組んだ経験となります。事前にレベルチェックテストとネイティブ講師とのインタビューを受け,私は初級。1,2,3:初級,4,5:中級,6,7:上級という7段階設定のうち,3でした。10週間,月曜から金曜まで毎日10:00-15:00の短期集中コースで15時には終わり。クラスメイトは固定で10人ほどだったと思います。

それまで英語といえば,『仕事のために嫌だけどやらなくてはいけない』『キャリアアップに必要』なもの。それまでのハードな競争社会から気持ちを抜け出せずにいたんです。しかし半年ほど仕事もせずにゆっくりと過ごした後で,特に必達目標があるわけでもない。クラスメイトも平日昼間に集まるメンバーですから仕事にあくせくしていることもなく,なんとなくみんな余裕がありました。そしてなにせこれまでまともに勉強したことがなかったので,ちょっと勉強すればそれだけ伸びていきます。

この,リラックスして英語に向きあえたタイミングがとてもよかったのだと思います。この先どうしようと道に迷う中,語学の『やればやるだけできるようになる』というのも楽しくて『もう少し続けてみよう』という気分になります。一般的な語学学校の初級コースですから,実際に学習した内容自体は絶対に独学可能です。しかし初めて自分の意思で自分のためだけに学習して楽しさを知った。今思えばその事自体が大きな転換点になりました。

TOEIC対策を経て外資系企業へ

この楽しく学習した2ヶ月を経て,真剣に英語を使う職場へ転職することを考え始めます。なにせ先が決まっていなかったので,なにか始めるのにハードルはない。しかし英語力がないことはもちろん,英語での業務経験もない。そこで次に始めたのは,TOEIC対策でした。ある程度の点数があれば,未経験でも英語を使う職場へ転職できるだろうと考えたのです。

ちなみにTOEIC,真面目に対策したのは初めてでしたが受けたのは初めてではありません。新卒で就職活動をする時に2,3回受験し(させられ?)ました。当時の点数は残っていないのですが,400点代だったことは覚えています。

ある程度以上の英語力を身につけるためには英文解釈のスピードを上げる必要がある,と,このブログでも度々お伝えしています。しかし初心者の場合,(その時間のかかるプロセスを経なくても)ちょっと単語や文法を覚えたりするだけでも結構点数が上がったりします。なにせ元が穴だらけなので,たとえリーディングが半分も終わらないような状況でも,解いた分が合っているだけでも結構上がるからです。

しばらく市販の教材で学習してはテストを受ける,ということをしていました。今考えるとかなり非効率なやり方をしていましたが,しかしこれだけ対策本が出ている試験でもあります。根性と力技で進めていても,続けているうちに,そして数打つうちに,そこそこ点数が出たりします。なにせ気分がのっている時だったこと,そしてやればやるだけ伸びる時期だったこともあって,結構楽しく続けます。

しばらく600〜700点代を推移していたのですが,ある時奇跡の800ジャスト(!)が出ました。これを履歴書に書き,転職活動を始めます。まだギリギリ第二新卒の年齢だったこともあり,未経験ながら英語が公用語の外資系企業でまったく別職種での内定を頂きます。

余談ですが,転職後も何度かTOEICを受けましたが800点はずっと出ませんでした。本当に奇跡の1回で,実際はコンスタントにTOEIC800点を取れる実力はなかったと思います(TOEICは時々このようなことが起きます。とにかく点数が欲しい方,とりあえず数を受けてみるのも一案です)。

英語を勉強『しなきゃ』から『したい』への大きな変化

『英語を勉強しなきゃ』と英語の短期集中コースに通い,TOEICも受け,英語が公用語の外資系企業に転職しました。ここまでの英語学習は『転職のため』『TOEICのため』です。英語を勉強『しなきゃ』が初めて『したい』に変わったのは,海外駐在がきっかけでした。

英語が公用語の外資系企業ですから,当然のように英語で業務をこなすことが求められます。しばらく海外駐在の機会も頂いたのですが,なにせ完全に付け焼き刃の英語だったことに加えて外資系企業の文化も初めて。右も左もわからず本当にいろいろな方にご迷惑をおかけしました。仕事自体はほとほと向いていないと痛感したのですが,しかしこれがきっかけで本気で英語が話せるようになりたいと思うようになります。

当時の自分が未熟だったからこそ,本当にいろいろな方に助けて頂き,よくして頂きました。そのような人たちの温かさに触れる中,もっと英語ができたらもっとみんなと仲良くなれるのに,と心底思ったのです。正直,仕事のためでは全くありませんでした。仕事などの見返りなしに,純粋に英語ができるようになりたい,この人たちと仲良くなりたいと思ったのです。

半年ほどで帰国し,ここから本気の英語の学習が始まります。当時はとにかく勉強したかったので,負担の少なそうな(=残業のなさそうな)英文事務の有期の職につき,9:00-17:00で事務職をしながら本腰を入れて英語学習を始めます。

まず,そもそも(外資系企業に入社する時点でクリアしていなければならなかった)TOEIC800点の能力さえ自分にはなかった,という思いがありました。そこでTOEIC対策からもう一度始めます。この時はTOEIC対策コースにも通いました。週に1回3時間×全8回,2ヶ月の完全にTOEICに特化したコースです。

同時に市販の参考書などを使い,自分なりの学習も始めます。決して効率のいいやり方はしていませんでしたが,しかしやはりビジネス英語の基礎を習得するにはTOEICはとてもいいですね。続けるうちにTOEIC900点も超え,確実に英語力が上がっていることを実感していました。同時に初学者の頃の『やればやるだけ伸びる』フェーズはすぎ,なんとなく次の一歩が超えられない。そんな状況にいました。

続きは次回。