“なんか文法がおかしい”を克服するための具体的な方法

英語学習のちょっとしたコツ

こんにちは。会議通訳のあひるです。

なんとなく英文法に自信が持てなかったり,『時々文法間違いがある』なんて指摘を受けたりしたことはありませんか?しかし実際は『どこから手をつけたらいいのかわからない』というのが正直なところかと思います。

今日はそんな時の処方箋,英文法のセルフチェックと弱点克服の方法です。私もこの文法セルフチェック,今でも時々行います。私は海外経験もなく,社会人になってから英語を学習したので英文法にも色々穴がありました。そんな時,通訳学校で教えて頂いたのがこの方法です。イザやってみると自分の弱いところが実に細かく見えてきます。私の場合,冠詞の使い方,単数複数など。まぁ毎回嫌になりますが,少なくとも自分の弱点はしっかり把握できます

【1】適当な音声付の英文を用意する

まず,ご自身にとって簡単だと思えるレベルの音声付英語教材を用意してください。内容はなんでもいいですが,Hi! How are you? – I’m fine! のような定形文集はふさわしくありません。文法チェックに使うのである程度まとまった文章になっているものを選んでください。

私は大抵茅ヶ崎方式・新英語教本のBook2(中級) を使います。以前もご紹介したものですが,このシリーズは時事英語の基礎の習得に本当におすすめです。ただ私は通訳を仕事にしているためこういった時事英語よりのものが有益ですが,別にこんなに硬いものでなくても構いません。

本来なら中学校の英語の教科書+音声あたりがちょうどいいのですが,そうそう手元にないかと思います。今お手元に適当なものがなければ,NHKラジオ講座からご自身に無理のないレベルを選んで頂くのも一案です。テキスト代が数百円かかりますが音声はアプリで無料で聞けますし,たとえ音声も購入してもそもそもNHKラジオ講座以上にコスパのいい教材なんてそうありません。音声は数十秒もあれば充分です。

【2】イザ!英文法セルフチェック!

それでは実際に英文法のセルフチェックを始めましょう。

【1】テキストは見ずに音声をイヤフォン/ヘッドフォンで聴き,耳で聞こえた英文をそのまま声に出しながら録音する(=シャドーイング録音)
いわゆるシャドーイングです。テキストは見ないで行います。自分の音声を録音する必要があるので,必ずイヤフォンやヘッドフォンを使ってください。
音声を聴き,極力耳から聞こえたとおり声に出していき,それを録音します。5,6文もやれば充分です。
聞いて全く理解できないという場合,そもそも英文教材のレベルが高すぎるのかもしれません。耳で聞いてわかる程度のものを使ってください。

【2】録音した自分の音声を書き起こす
録音した自分の音声を聴きながら,自分の発した英語をそのまま書き起こしていきます。

【3】書き起こしと実際のスクリプトを比較
自分の発話を書き起こしたものと,オリジナルのスクリプトを比較して下さい。異なるところが今のあなたの弱点です。

※慣れてきたら,【2】の自分の音声チェックの段階でオリジナルスクリプトを参照し,自分の音声と異なる部分だけをチェックしていくことも可能です。基本的にそこまでの間違いはなく,時々時制が違う,単数複数を間違える,前置詞が違う,冠詞が違う,このくらいのレベルなら,オリジナルのスクリプトに直接書き込んでいった方が早いかもしれません。

【3】録音音声を分析する

ではご自身の結果を見て,弱点を分析していきましょう。

たとえば元のスクリプトがonなのに自分はinと言っていた場合,前置詞に充分注意が払えていない可能性があります。元のスクリプトがI’ve sentなのに自分がI sentと言っていた場合,時制に充分注意が払えていない可能性があります。元のスクリプトがstudentsなのに自分がstudentと言っていた場合,名詞の単数複数に充分注意が払えていない可能性があります。

ここで注意して頂きたいのは,文法的にどっちもOKだからOKではない,という点です。

たとえば上の例:I’ve sent が I sent となっていた場合。文脈によってはどちらでも正しく自然な文章になることもあるでしょう。しかしここで問題なのは文法的に正しいか正しくないかではありません。耳で I’ve sent と聴こえたにもかかわらずご自身が I sent と言うのは,そこに何らかの認知・解釈の癖があるからです。そのため,この『(無意識に)実際に聞こえたものと違う認識をしている』箇所が,あなたにとって注意を払うべきポイントとなります。

如何でしたか?自分の声を聞いて嫌になっているかもしれませんが,これ以上に自分の弱点がしっかり見える方法もそうありません。あまり頻繁にやると心折れますが,とはいえ現実を直視することも必要です。忘れた頃に自分でチェックしてみると,よいセルフフィードバックになります。

弱点克服:英語学習における80:20の法則② 英文法編

では,それをどう克服するか。あまりの課題の多さにげんなりしている方もいらっしゃるかもしれません(私も毎回嫌になります)。しかしおそらく,今感じるほどは課題は多くないはずです。なぜなら,大抵最も問題のある2割も解決すれば,多分文法の間違いの8割はなくなるからです。

パレートの法則ってご存知ですか?以前『同じ教材を繰り返すか,様々な表現に触れるべきか』の記事で詳しく取り上げたものです。これは80:20の法則とも呼ばれ,『成果の80%は全体の20%から生み出される』,というものです。私は英文法についても全く同じことを感じています。

どういうことか。私たちは日本語の影響を受けていますから,『日本人が間違いやすい』文法事項ももちろんあります。やはり日本語にない概念は習得に時間がかかるし間違いやすいですよね。しかし同時に,個々人の傾向というのも多分にある気がするのです。私は冠詞が抜けやすい,私は時制を間違いやすい,等々。

要はみんなそれぞれ同じような所ばかり間違えるものだということです。しかし逆にいうと,自分のあらゆる文法ミスのうち,自分がもっとも頻繁に間違えるいくつかの項目を直せると文法ミスはかなり減る,とも感じるのです。パレートの法則に触れたのはこのためで,文法ミスももっとも頻繁に間違える項目2割を直せるとミスは8割減る,文法ミス全体のうち8割は同じ2割の項目ばかり,というふうに感じるのです。

セルフチェック結果を日々の学習に活かしていく

先ほどのセルフチェック,もう一度よく見てみてください。自分もそうなので書いていて嫌になりますが,同じような間違いばかりありませんか?いつもいつも複数形のsが抜ける,いつもいつも動詞の現在形の三人称単数のsが抜ける,いつもいつも主語と動詞の不一致が起きる,等々。間違える種類は違えど,やはり個々人の傾向ってあるんです。ですので,そこに集中して直していきます。

たとえば,自分はいつも①主語と動詞の不一致が起こりがちで,②複数形のsが抜けがち,という場合。ご自身で英文を作ったら3段階で見直します。1回目:言いたい内容がしっかり伝わっているかを確認,2回目:主語と動詞の不一致だけに注目して確認,3回目:名詞の単数複数だけに注目して確認。

重要なのは絶対に一緒に確認しようとしないことです。文法のセルフチェックでわかったのは,耳から別のことが聞こえているにも関わらず無意識に異なる解釈をしてしまう,その認知の癖です。このくらい無意識に間違えるところは,かなり注意を払わないと絶対に直りません。同時に,これだけ強固な癖がいくつかでも克服できると,全体の間違いも一気に減ります。精神論に聞こえるかもしれませんが,『しっかり注意を払う』だけでそこそこ直ってくるところなので,ぜひ注意していきましょう。

また,私は初心者ほどアウトプットを中心に据えた学習が効果的で効率が良いと考えています。具体的には普段日本語で考えていることをどんどん英語にまとめ,できれば時間がある時に見直し,いつでも発信できるよう準備することを強くおすすめしています。その過程でこの英文法セルフチェックの結果をうまく活かし,注意を向けられるようになると一気に質が上がります。なお,このおすすめ学習法はこちらにまとめています。

如何でしたか?英文法,細かい間違いをひとつひとつ見ていくと気が遠くなるものですが,やはり個人の傾向もあるというか,自分の弱点をうまく掴むことで,ぜひ効率よく克服していきたいところです。『木を見て森を見ず』にならないように注意することが大切です。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!