英語リスニング道③ シャドーイングの落とし穴

初級から中級へ:リスニングを極める

こんにちは。会議通訳のあひるです。
前回はリスニングの土台となる短文の聞き取りについて,音読しながら攻略していく方法をお伝えしました。

ところで,昨今通訳者養成スクールで実践されていることもあって,シャドーイングがブームになっています。そんな中,前回なぜシャドーイングではなく音読をオススメしたのか。今回はその詳細です。

シャドーイングはある程度力がついてくると非常に効果的なトレーニングです。しかし初心者,具体的には英語をナチュラルスピードで聞き,同じ速度できちんと理解することが難しいうちにいきなりシャドーイングから始めると,変な癖がついてしまうことがあります。そのため,ナチュラルスピードでしっかり聞こえるようになる前は,まず音読から始めることをお勧めします。

今回綴るのは,何を隠そう全て私自身の経験談,というか失敗談。私自身の反省も込めて,このシャドーイングの落とし穴についてお話させてください。

シャドーイングの落とし穴

まず,これは自分自身の反省も込めて。前回の記事で『最終的に目指すべき姿は短文を聞き,同じスピードで一緒に声に出しながら同時に頭で意味も理解できる』だとお伝えしました。しかし,ナチュラルスピードで英文を解釈できるようになる前に,始めから同じスピードで一緒に声を出す,いわゆるシャドーイングをするのはオススメしません。物事には順番があり,正しいステップを踏むことがとても重要です。

意味が取れず,内容もわからないのに無理に音だけを追おうとすると『聞き取れた音のみが頭の中で日本語の音に変換され,それを繋げた音の羅列』になります。本来シャドーイングで習得すべき英語のリズムを習得できません。伸びやかな音やたっぷりとした長い子音,単語同士の自然な音のつながりなどです。シャドーイングは英文を充分理解し,ナチュラルスピードで頭から理解できるようになった段階で取り組んで初めて,とても有効な練習となります。

具体例を挙げてみましょう。I don’t want to go to school, Daddy! (お父さん学校行きたくない!)という英文があるとします。これを意味も理解できないまま音だけ聞くとどうなるでしょう。

まず,日本語は子音だけの発音がないので,集中して訓練をしていないと子音のみの音は聞き取れません。(非常に強く発音されている場合は音の存在は認識できるもの,頭の中で知っている日本語の音に置き換わることはあります。”s”が”ス”とか)。その聞こえない部分を消すと,脳内に響く音はこうなります。I don(’t) wan(t) to go to (s)choo(l), Daddy!

そして英語は日本語に比べて非常に抑揚が強いので,アクセントのある音が日本語の何倍も強く発音されます。すると聞こえるのはI don(’t) wan(t) to go to (s)choo(l), Daddy! ,こんな感じでしょうか。そして人間の脳の性質として,知らない音は知っている日本語の音に変換されます。これを素直に『(本人が)聞こえたまま』口に出すとどうなるでしょうか。

多分,よくてこんな感じです:ァドンゥォゴーク,!これは避けましょう。このような英語がダメというより,一度変な癖がつくと後から矯正したくなった時に大変な手間がかかるからです。なお,この日本語環境で育った人が英語の音を取れないしくみは以下で詳しく解説しています。

ご自身に合ったタイミングを

一度身についたクセを矯正するのは,ゼロから体得する何倍もの労力がかかります。ですのでまずは自分のスピードで英語の音を発話できる音読から,きちんと順番を踏んで行うのが結局一番の近道です。私自身も苦労したもので,反省も込めてお伝えさせて頂きました。

シャドーイング,ナチュラルスピードでしっかり理解でき,細かい音まで充分注意を向けられる状態であればとっても有効なんです。何事にも適切なタイミングというものがある,それだけです。皆さんはぜひ,ご自身にあった方法を踏んで回り道せずに英語を習得できますように。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!