こんにちは。会議通訳のあひるです。私は海外経験もなく,社会人になってから英語を学習しました。このブログではその経験を踏まえて英語学習法をお伝えしていますが,今日は『読めばわかるのに聞き取れない』短文のリスニング攻略です。
(耳ではなく)目で読んでも理解できないものはまず理解できるようにする必要がありますが,『読めばわかる』ものが確実に聞き取れるようになると一気に視界が開けます。大きな進歩を感じられるところなので,ぜひ一緒に頑張りましょう
短文リスニング 攻略のキモ
英語リスニングの基礎となるのが,短い文章のリスニングです。以下の記事で詳述しましたが,『読めばわかるけれど聞き取れない』場合,おそらく大半の方の真の原因は頭の中で英語を処理するスピードが遅い,もしくはギリギリなのだと思います。
この短文リスニングの段階では,この『読めばわかるけれど聞き取れない』レベルの教材を使って,『短文を聞き,同じスピードで一緒に一緒に声を出しながら同時に頭で意味を理解できる』を目指してトレーニングをします。
各段階で目指すこと
私は社会人になってから英会話スクールやら様々な教材やら通訳学校やら色々と試行錯誤しながら身につけてきました。その結果を振り返り,やはりしっかりと段階を踏んで身につけていくことが大切だと感じます。ひとつできるようになったら次に行く。これから練習のための具体的な手順をお伝えしていくのですが,始める前にぜひ『どのような状態になればOKなのか』,つまりやることではなく達成すべき内容をしっかり理解してください。目的は練習すること自体ではなく,それぞれの段階で必要な能力を身につけることです。ぜひ,以下を参考にしながらご自身にとって効くやり方を試行錯誤してみてください。
【1】到達目標:文章の中身をしっかり理解する
頭で理解するところです。目で読み,必要に応じて単語や文法を調べて終了,すぐ終わります・・・,というよりもこれがすぐ終わるレベルの素材を選んでください。
【2】到達目標:文章を音読しながら,同じスピードで頭で意味を理解できる
理解した英文を,頭から処理できるようになる段階です。
『読んで理解できるが聞き取れない』場合,返り読みをしていることがあります。まずはゆっくりでいいので頭から英語の語順で理解できるようになる必要があります。これができないとリスニングはできません。この段階では速度を気にする必要はありません。ここで音読をするのは,声に出すことで強制的に文章の頭から処理するためです。まず初めの目標は自分のペースで『英文を(頭から)声に出して読むと同時に意味が頭に浮かぶ』ことです。
以下は練習方法の一例です。
まず,テキストを見ながら音声を聞きます。音声を何度も聞きながら,耳から聞こえるひとつひとつの音が目の前の1語1語と対応することを確認してください。
次にいよいよ読む練習です。負担なく読めるようであれば音読がいいと思いますが,難しければ黙読からスタートします。あくまでご自身の感覚で判断してください。
ここでは読みながら,読むと同時に頭に意味が浮かぶよう,繰り返し練習します。これは『日本語訳が浮かぶ』ではありません。日本語訳ではなく,英語を聞くと同時にその意味するところ・状況・イメージが頭に浮かぶよう練習します。難しければ,それができるところまで速度を落とします。内容を理解できている以上,ゆっくりなら必ずできます。
そして徐々に速度を上げていきます。黙読で始めた方は,徐々に音読で試してください。音読という負荷をかけてもしっかり理解できるようにすることが,処理能力の向上につながります。
【3】到達目標:音を聞き,同じスピードで頭で意味を理解できる
自分の音読である程度の速度で語順どおり理解できるようになったら,いよいよナチュラルスピードでの理解を目指します。今までは自分のペースで読んでいましたが,今度はナチュラルスピードの英語音声を聞き,その速度で同じように英文が意味するところ・状況・イメージが頭に浮かぶよう繰り返し練習します。初めは声に出せなくても大丈夫です。とにかく全集中して聞き,自然な速度で読み上げられる英語と同じスピードで英語を解釈ができるよう集中します。
【4】到達目標:音を聞き,同じスピードで一緒に声に出しながら同時に意味を理解できる
いよいよ最後の段階です。音声を聞き,同時に自分の声で教材を読み上げながら(テキストを見ながらで構いません),同じように英語を解釈できるよう練習します。
よく,ひとつの教材を何度も繰り返すのがいいのか,様々な英文に触れるのがいいのかというご質問を頂きます。私はこれは完全にレベルによると考えているのですが,今の段階ではこの【4】までしっかりできたところで次にいきましょう。
負荷の効用:ナチュラルスピード,プラスアルファを目標に
ちなみに,何故リスニングで【3】音を聞いて,同じスピードで頭で意味を理解できる,だけではダメで,【4】音を聞いて,同じスピードで一緒に声に出しながら同時に意味を理解できる必要があるのか。それは『音を聞いて,同じスピードで頭で意味を理解できる』だけではまだ実用にはキツいからです。
【3】に到達した段階,つまり『ナチュラルスピードの音を聞いて,同じスピードで内容を理解できる』というのは,言ってみれば『100%全集中して聞けば相手の言いたいことが理解できる』状態です。しかし実際に英語を使う場面,例えば会話のシーンを考えてみましょう。
私たちは普段の会話では,頭の中では実に雑多なことを考えながら相手の発言を聞き,自分の考えをまとめ,返答をまとめ,そして相手の発話が終わったらこちらが発言します。このプロセスに耐えるには,ナチュラルスピードにギリギリついていけるだけでは不充分です。いわば余裕が必要。
そしてこの余裕を身につけるには,なんらかの負荷をかけて練習するのが一番です。例えば通訳学校などにいくと,ナチュラルスピードで聞きながら内容をまとめたり(要約)聞いてすぐ後に内容を復唱したり(リテンション)様々な訓練をしますが,これもある種,聞き取りの負荷をかける練習です。
そして今この段階では,負荷をかける方法として音読,そして慣れてきたらモデル音声と一緒に声に出していく,というのが一番オススメです。自然な英語のリズムを真似することができ,発話の練習にもなり,また単純に単に声に出すことで英文が自分の身に染み込んでいくような効果もあります。
ちなみにこの段階でいきなりシャドーイングはオススメしません。英文がナチュラルスピードで余裕を持って理解できるようになるとシャドーイングは大変効果的なのですが,ナチュラルスピードで理解できるようになる前に始めると変なクセがついてしまうことがあります。何事にも適切な順番・タイミングがありますので,まずは読んでわかる英文なら耳でもナチュラルスピードで理解できる,を目指していきましょう。
如何でしたか?冒頭触れたとおり,ここは『初心者』から『中級』への大きなターニングポイントとなる段階です。一緒に頑張りましょう, Bon Voyage!

