こんにちは。会議通訳のあひるです。
前回,テキストありき,カリキュラムありきの外国語スクール受講のコツをお話しました。今日はマンツーマンレッスン。マンツーマンの場合,とにかくあなたの言いたいこと,アウトプット練習をサポートしてくれるものが最も効果が高いと考えています。今日はその理由をお話します。
最速で外国語をモノにするプロセス【再掲】
そもそも,最短で外国語を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか?様々なご意見があるでしょうが,私は自分の経験からとにかくアウトプット中心の学習が最も効率的で効果的だと考えています。
そのため,マンツーマンレッスンもアウトプット練習をサポートしてくれるもの,もしくはアウトプットにあたってご自身の間違いやすいポイントを指摘してくれるものが最も効果が高く効率がよいと考えています。
では,なぜアウトプットありきなのか。これはとても大事な考え方なので以下に再掲します。これは英語についての記事ですが,他の言語も基本的な考え方は同じです。
もちろん,はじめは言いたいことを充分に外国語にできないかもしれません。しかし,たとえ外国語にならなくても,『外国語にしようとする』プロセス自体が効果的なのです。なぜなら頭の中に『○○語で△△ってなんていうんだろう?』という疑問があるだけで,学習がグンと加速するからです。
そして,初学者が言いたいことを外国語にする具体的なプロセスはこちらです。ポイントは,簡単な外国語でも表現できるよう,自分の思考をまずは日本語でシンプルにすることです。
完全に初学の外国語では,確かにはじめにある程度のインプット,アルファベットや最低限の文法事項などの知識は必要です。余談ですが,私はロシア語は講座を利用してインプット中心の学習から始めたのに対し(独学,トライしたのですがアルファベットが書けなくて・・・),フランス語ははじめからアウトプットありきで学習してきました。これはもちろんその語学の特性や自分の前提知識にもよるのですが,やはり早い時期にアウトプットありきの学習を始められた時ほど習得が早かったです。この対比は,どんな言語を学ぶにも参考になると思います。
マンツーマンレッスンのベストな活かし方
さて,前置きが長くなりました。せっかくマンツーマンレッスンを受けるのであれば,このアウトプットをきちんとサポートしてくれるレッスン,もしくはアウトプットにあたってご自身の間違いやすいポイントを指摘してくれるレッスンが効果的だと考えています。順にお話します。
【1】アウトプットのサポートをしてもらう
まず,ご自身の言いたいこと,考えていることを外国語にするお手伝いをしてもらうようなレッスンはとても効果的です。ご自身が外国語にしたものを単に修正してもらうだけでなく,さらに自然な言い方,『こんな言い方もあるよ』と教えてくれるような先生が理想です。自分の言いたいことありきですから,学校の用意する決められたカリキュラム・教材をこなすよりも余程実践的な内容を学べます。
このようなレッスンをしっかり繰り返すと,ご自身が普段考えていることはひととおり自信をもって発信できるようになります。知っている話題についてはそこそこ語彙もついてくるでしょう。単にGoogle先生やAI先生にいわば『正しい表現』を聞くだけでない,生身の人間ならではの返事・リアクションも得られます。つまり『へぇ,じゃぁ○○についてはどうなの?』などの対話が発生しますから,その対話にもしっかりと答えられるようになることで表現の幅も広がります。それにより,ご自身の仕事,ご自身のフィールドについては英語で対話できるようになると思います。まずはそれを目標とし,ある程度できるようになったところで次の目標を設定しては如何でしょうか。
これは以前もご紹介したのですが,やはり再掲させてください。語学が大変に堪能だったと言われる19世紀の考古学者,ハインリヒ・シュリーマン(Heinrich Schliemann)の自伝です。
(中略)私は一心不乱に英語の勉強に打ち込んだ。そしてこの際,必要に迫られて,私はどんな言語でもその習得を著しく容易にする方法を編み出したのである。その方法は簡単なもので,まず次のようなことをするのだ。大きな声でたくさん音読をすること,ちょっとした翻訳をすること,毎日一回は授業を受けること,興味のある対象について常に作文を書くこと,そしてそれを先生の指導で訂正すること,前の日に直した文章を暗記して,次回の授業で暗唱すること,である。
『古代への情熱 シュリーマン自伝』少年時代と,商人としての人生行路(新潮文庫版より引用,P31,関楠生訳)
私の考える理想のマンツーマンレッスンは,まさにこれです。これ以上の方法は思いつきません。
【2】間違いやすいポイントを指摘してもらう
ご自身で考えていることを外国語にしようとすると,やはり間違えてしまうこともあるでしょう。これは完全に私の個人的な感覚でしかないのですが,間違いやすいポイントにも個人の傾向・クセがあると感じます。まぁ言ってしまえば,みんなそれぞれにいつも同じようなことを間違えているということです。マンツーマンで,ご自身の間違いの傾向を詳細に指摘してもらうのも一案です。
英語を例にとれば,冠詞が抜けやすい・間違いやすい,主語と動詞の不一致が起きやすい,等々。もちろん日本語の影響を受けている以上『日本人が全般的に間違いやすいポイント』というのもあるのですが,やはりそれとは別に個人差,傾向というものもある気がします。自分がどういうポイントで間違いやすいのか,どこが不自然に聞こえがちか,そういったフィードバックをお願いするのも有効です。
これ,実はAIなどに判断してもらうのは難しいんです。というのも意識的であれ無意識的であれ,たとえばChat GPTにあえて英語を入力して間違いを聞く場合はやっぱり気構えるというか,一応そこそこ目でチェックしながら質問するのではないでしょうか。しかし聞きたいのは無意識にやってしまう間違い。何も考えずにダラダラを話したもののフィードバックをお願いした方が有効だと感じます。
さらに,これを何度か続けてある程度自分の傾向が掴めてくると,自己フィードバックが可能になります。
はじめのうちは『ここはこう表現すべき』と直してもらうことも必要でしょう。しかし,たとえば『自分はいつも冠詞の間違いを指摘される』という場合。ある程度自分の傾向が掴めれば,そのうち自分の言いたいことを英語にした後でまず全体を見直し,次に冠詞だけを集中して見直す,といったことができるようになります。慣れてくると,(意外と)自分でも結構直せるようになってきます。100%完全に直せるようになるにはやはり時間がかかりますが,6,7割なら自分で直せるようになるし,それだけでも全体としてはだいぶ底上げされます。このように自己フィードバックができるようになると学習効率も大きく上がります。
マンツーマンレッスン講師の選び方
そして,講師探し。英語以外の言語の場合は必ずしも学習目的がビジネスではないかもしれませんし,そもそも先生の選択肢が少ないかもしれません。しかし仕事で英語を使うために英語講師を探される場合,私なら普段からビジネスなど公的な場にふさわしい英語を使っている,もしくはそういった立場の方相手にプロとして英語を教えていた経験があることを最重視します。
何が言いたいかというと,ネイティブなら誰でもいいというわけではない,という意味です。逆に言うと,この条件を満たしていればネイティブである必要もありません。日本語で学べる分,日本人講師の方が効率的なこともあります。
高等教育で外国語としての英語をしっかりと学んだ方の方が,下手なネイティブよりずっと洗練され,系統だった英語を話されることはよくあります。これは完全な余談ですが,以下の記事で取り上げた,初学者だった頃の私の英語学習の大きな転機となった友人との会話。この方も母国語は英語ではなく,ヨーロッパの方でした。
如何でしたか?最近はオンラインという選択肢があるので,外国語の先生も探しやすくなりましたよね。いい先生との出会いは宝物になることもあります。言葉そのものもさることながら文化,考え方,学習の心構えなど様々なことが学べるのはもちろん,『この人にこれを伝えたい!』という気持ちは大きなモチベーションになります。ます。ぜひご自身でできる努力はしつつ,いい出会いがありますように。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!

