こんにちは。会議通訳のあひるです。
最近のAI,すごいですよね。英語なんて一瞬で訳してくれます。
こんな世の中では時々,『今時英語なんて本当に必要?』なんて声も耳にします。そんな問いに対して私が思うこと。今日はそんなお話です。
AI時代,英語は『必要』?
いきなり身も蓋もありませんが,このAI時代に英語力が『必要か』と聞かれると,まぁだいぶ要らなくなりましたよね。
もちろんAIにも得意分野,不得意分野はあるでしょう。でもこの技術の根本は膨大なデータからのパターン抽出。やはり語学は得意だと感じます。文法なんて完璧。
英文記事も,もちろん個別な事象に特有の稀な表現などはきちんと確認する必要はあるものの,それでも一瞬で訳してくれます。もう娯楽以外の英語なんて自分で読む気はしなくなります。
純粋な実用面・運用面だけを考えると,もういいかと思いますよね。
その英語は何のため?
では英語を身につけるメリットはないのか。
私は元々英語が苦手だったので『英語ができない』状態も鮮明に覚えています。その対比があるので,やはり英語を自由に使えるようになって人生が豊かになったと感じます。
もちろん受験や資格試験など,運用云々とは関係なく学習しなければいけないこともあるでしょう。
しかし本来,言葉というのはコミュニケーションツール,人と人とをつなぐもの。その言葉を学ぶというのは,まったく異なる場所からきた相手の背後にある思考や文化も含め,その人間にまるごと触れることです。
そんな魂の交流ができる外国語,確実に私の人生を豊かにしてくれました。
こんなことをぼんやり考えていると,結局今は以前よりも一層『なぜ学ぶのか』が問われる時代なのではないかと感じます。
二極化する(気がする)英語力
『必要だから』英語をやろうとしても,読むことも書くこともAIさんがやってくれる時代。ある意味どんどんやる気を削がれます。
一方で『楽しいから』『やりたいから』『好きだから』英語をやるには本当にいい時代。
読む・書く・聞く・話す,すべての面でAIさんの協力を得られます。
そうすると早く/安く学べるのはもちろん,成果を感じるまでのスピードが早いので,学習がより楽しくなるしやる気も出る。
学習の必要がなくなったとも言える一方,楽しめる人の学習サイクルはどんどん早くなる。そういう意味ではAI時代の英語力,二極化していくのかもしれません。
日本人の英語力が向上してきたわけ
私はこの点について具体的なデータなどは持ち合わせていないのですが,やはり日本人の英語力は全般的に上がっていると感じます。
日々通訳対応のため様々な企業の会議にお邪魔しますが,やはりご自身で英語で発言される方,通訳機材をお使いにならない方はずっと増えたと感じます。
これはもちろん英語教育法の知見が増えてきたこと,学校教育で英語を重視する方針,技術面の発達など様々な要素はあるでしょう。
でも振り返ればペリーさんに開国を迫られて以来ずっと英語は大事だと言われ続け,学習法も英語ビジネスも山のように出てきたにも関わらず,みんな未だに苦労しているわけです,私自身も含めて。
それがどうしてこのところ社会全体として英語力が上がってきたのか。
これはごくごく個人的な意見ですが,海外に行く人や英語に取り組む人が増えた結果,『英語,頑張ったらできるようになった!』経験,『英語ができると楽しい!』実感が,社会全体として増えてきたのではないかと思うのです。
人は成果を実感できれば頑張れるもの。頑張りが続けば英語はうまくなる。その結果『自由に英語を使えるって楽しい!』と感じる人が増えれば,それぞれ子どもに熱心に教えたり,それを見た周りの人たちが英語を学び始めたりといった効果が生まれる。
このようなことを考えると,私はやはり『話せるようになった』方々にとってはやはり英語は習得する価値がある,楽しい経験なのだろうと思うのです。
人生100年時代の英語力
ここまでAI時代の英語力という観点でお話してきました。
しかし『英語はやらなくていいか』を考える時,もうひとつ気になるポイントがあります。それは定年というか,リタイア年齢の上昇。
著書ライフ・シフト(原題:The 100-Year Life)でリンダ・グラッドンは,寿命はどんどん延びていて今や人生100年時代。こんな時代はライフステージに合わせて仕事や学び,子育てなどを柔軟に,と仰っています。
でも私がこれを読んで最初に思ったこと。それはやっぱり,こんな時代こそ仕事は楽しくないとつらいな,ということ。
そういった意味で,もし英語を身につけることで楽しめる何かがあるなら,やっぱり一度はやってみてほしいな,とも思うのです。
たとえば40歳で英語ができるようになったとします。
昔なら定年の60歳も近くなってくると現場に出ることも少なくなっていましたから,活かせるのはせいぜい10年程度。
でも今だと活かせる期間がすごく長くなります。キャリアに活かせる期間が長くなるのはもちろん,健康寿命自体が伸びていますから,読書だ旅行だなんだと『楽しめる』時間も増える。
語学は身体スキル的な面も強いので,一度獲得すると割と長く活かせます。
私の感覚では,一度習得してもしばらく使わないとやっぱり忘れる。でももう一度使い始めた時に思い出すのは,ものすごく早くなります。
たとえば私は妊娠・出産の時期には仕事を控えますが,復職のたびに感じます。
今日は(いつにも増して)とりとめもなく書いてきました。英語やってみようかな,なんて思っている方がいらしたら,少しでも参考になれば幸いです。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!
