こんにちは。会議通訳のあひるです。
洋書はハードル高いですが,しかし読めるようになるととても楽しいもの。私自身も英語が『苦手!』から通訳になるまでのプロセスではいろいろなものを試してきました。
学習教材から洋書への橋渡しとして,GR: Grated Readersから読みやすいものを紹介しています。5回目の今回はSteve Jobsの人物伝です。
英語で読む人物伝のススメ
洋書を読み慣れていない時,やはりハードルになるのは面白さと難しさのバランス。たとえばフィクションや物語などは面白いものの表現が凝っていて難しくなりがち。
そんな観点から前回はノンフィクションをおすすめしましたが,同じようにおすすめしたいのが人物伝,しかも現在進行形でビジネスに影響しているような人たち。
今日はその中からSteve Jobsをご紹介します。
Steve Jobs
読みやすい英語で現代を追えるSteve Jobs
Grated Readersは人物伝もいろいろ刊行されていて,歴史上の数々の偉人が平易な英語で読めます。
インド独立のために身を徹したマハトマ・ガンジー。戦地で身を粉にして人に尽くしたマザー・テレサ。もちろんどれも含蓄に富んでいて面白かった。
しかし異なる時代背景,馴染みのない場所の話だとどうしても英語で追っていくことがしんどくなってきて,結局『お勉強感』が出てしまうことも。
そういう意味で面白く読めたのが,Steve Jobs。私たちのリアルな日常生活に現在進行形で影響しているような人だからこそのリアリティです。
こういう趣味人,いますよね
以前私は読みやすい洋書の選び方をお伝えする記事で,洋書選びで陥りがちな(私が陥った)罠を散々ご紹介し,結論として一般向けのビジネス書をおすすめしました。そのキモは,読みやすさと分かりやすさ。
そしてこのSteve Jobsは同時代(同世代である必要はない)を生きた人であり,現在進行形で私たちの生活に影響している人だからこそ身近で,一般的なノンフィクションやビジネス書と同じような読みやすさを感じます。
大学生の頃こんな感じで,普段は何をしているのか全くわからないけれど,なんか好きなことに異常に熱中しながらふらふらしてる人,いませんでしたか?
こういう感じでインドやアジアに傾倒してる若いバックパッカー,周りにいませんでしたか?
私は英語や洋書を読むとき,『英文が理解できた』というだけではなくて身体感覚としての『わかるー!』感があると一気に読みやすくなるし続けられる気がしています。
こういう役員,いますよね
組織で仕事をするJobs然り。
これは私が会議通訳を生業としていて日々いろいろな企業で役員の入る会議を見ているから余計にそう感じるのかもしれませんが,こういう役員の方,いらっしゃいますよね。
譲らず頑固で怒らせると面倒だけど,本当に能力のある人には絶大な信頼を得てちゃんとついてくる。
ノンフィクションでも人物伝でも物語でもなんでもそうだと思うのですが,やはり時代が違うと一気に教養やお勉強感が出てしまう。それが同時代の人となると,一気にリアルになる。
そうすると『歴史上の偉人』より『昔見た○○さんみたい』になり,『すごく想像できてどこかにいそうな現実の人の中で一番突き抜けてかっこいい人』みたいに見えてくる。
そうなると一気に面白く読めるんですよね。
次の読書につながる喜び
それからこのGrated Readersを紹介する記事ではよくお伝えしているのですが,GRはもちろんそれ自体が読みやすいことも魅力ですが,本格的な洋書を読む前の導入としても非常にいい。
つまり英語でなにかを読もうとする時,まず同じ分野のGrated Readersを1冊読んでみる。
すると本格的な洋書よりはずっと読みやすく,全体像を掴める。
そしてそこで充分満足できれば,このGrated Readersを読んだ分だけ知識も英語力も向上する。
仮に『面白い!もっと読んでみたい!』と思ったら同じジャンルの本格洋書,ペーパーバックを読んでいくわけですが,先にGrated Readersでいるのでペーパーバックも読みやすくなる。
Grated Readersはそういった『導入書』としても本当におすすめ。
そしてそういう使い方をするとき,現在進行形で影響を及ぼしているような人,ホットな人物については面白い本も記事も様々出ているので,次の読書の幅がすごく広がるんです。
このSteve JobsであればあのWalter Isaacsonの伝記が有名ですが,他にも例えばTo Pixar and BeyondではJobsがPixarにいた頃の様々なエピソードが紹介されていて,これも面白い。
これも一企業をめぐるノンフィクションですから,特にビジネスパーソンには面白く読めるのではないかと思います。
同じ語彙レベルでも異なる英語感
ところでSteve JobsについてのGrated Readers,現在手に入りやすいものだとOxford Bookworms Library版,Penguin Readers版の2冊があります。
後述のとおり語彙レベルは共に700語程度,日本の現行カリキュラムでは中学入学時程度です。
Oxford Bookwormsは写真が豊富,Penguin Readersはイラスト中心,といった編集上の違いもあるのですが,それ以上に同じ語彙レベルでありながら英語感(うまい表現が見つからないのですが)も全く違う。
完全なる主観ですが,とにかく読みやすさに全振りしているのがPenguin Readers。語彙レベルのみでなく英文の構造自体も読みやすくシンプルで,言ってみれば中学校の教科書みたい。
逆にOxford Bookwormsは(テキスト仕様ではない)ごく一般的な,リアルな英語の文章の語彙レベルだけをうまく調整したような感じ。全体としてもこちらの方が長いと思います。より細かい話になっている。
どちらがいいというものではなく,ご自身の好みや目的に合わせて選んで頂ければと思います。それはそれとして,同じ語彙レベルでもこんな違いが出るって素直に面白いですよね。
レベル感
Oxford Bookworms Library版,Penguin Readers版,いずれも語彙レベルは700語程度です。
2020年度までの学習指導要領では,中学校で学ぶ語彙数は1年生で500語程,2年生で400語程,3年生で300語程で総計1,200語でした。2020年までに中学校を卒業された方なら中学校2年生程度と感じるかと思います。
なお,2021年度以降の新学習指導要領では小学校で600~700語となりました。現行カリキュラムで学んでいると,中学入学程度と感じるかと思います。
それぞれの詳細は以下のとおり。
Oxford Bookworms Library版
Oxford Bookworms Library版はStage2です。公式サイトではCEFR A2-B1相当,使用されている語彙レベルは700語程度と紹介されています。1冊あたりの総語数の平均は6,500語程度で,このSteve Jobsの総語数は7,567語です。
Penguin Readers版
Penguin Readers版はLevel 2です。これはCEFR A1+程度,使用されている語彙レベルは700語程度, 1冊あたりの総語数の平均は3,000-5,000語程度と紹介されています。
しかし今回この記事のために私も読み直したのですが,改めて数奇な人生ですね。ご冥福をお祈りします。
